kanegonta’s blog

著作権や特許とかを趣味程度に勉強している企業ホーマーのまとまりのない日記。あくまで個人的な見解であり、正確性等の保証はできませんので予めご了承くださいませ。

リンクと著作権(1)~リンクを分類する~

f:id:kanegoonta:20180617144302j:plain

 

 Twitterリツイート行為に著作者人格権侵害に該当する知財高裁の判決が話題になっています。

「RTで画像自動トリミング、著作者人格権侵害に当たる」 知財高裁判決、Twitterユーザーに衝撃 - ITmedia NEWS

リツイートは著作者人格権(同一性保持権)侵害だとした知財高裁判決に対するTwitterユーザの反応 - Togetter


 また、上記判決とは別にインラインリンクに著作権侵害の幇助が認められる旨の判決もでているようです。

著作権・知的財産権・ウェブ・デジタル法務特設サイト/I2練馬斉藤法律事務所

 

 Twitterリツイート行為もいわゆる「インラインリンク」に該当するため、どちらもリンクに著作権侵害(またはその幇助)が認められた事例といえるでしょう。

 ただ、今回の判決は日常で当たり前のように行われている「リンク」が全て著作権侵害に該当するわけではないと思っています。

  個人的にリツイート事件の判決には納得がいっていないのですが、今回の判決も含めて改めて「リンクと著作権」について検討してみたいと思ってブログを書いてみます。

 

※本エントリーはkanekoが個人的興味に基づき、過去調べてまとめたものです。正確性等については保証できませんのであらかじめご了承ください。(間違っていたら修正しますのでご指摘お願いします。)

 

 まず今回のエントリーではリンクの形式を分類していこうと思います。

 

 1.リンクの分類

 リンクとは「他のWEBページ等のコンテンツ(リンク先)を直接参照できるようにする仕組み」のことであり、経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(平成29年6月)においては、リンク様態を以下の5つに分類しています。

 

サーフェスリンク 他のウェブサイトのトップページに通常の方式で設定されたリンク
※「通常の方式で設定されたリンク」とは、ユーザーがリンク元に表示された URL をクリックする等の行為を行うことによってリンク先と接続し、リンク先と接続することによってリンク元との接続が切断される場合のリンク
ディープリンク 他のウェブサイトのウェブページのトップページではなく、下の階層のウェブページに通常の方式で設定されたリンク
イメージリンク 他のウェブサイト中の特定の画像についてのみ設定されたリンク
インラインリン ユーザーの操作を介することなく、リンク元のウェブページが立ち上がった時に、自動的にリンク先のウェブサイトの画面又はこれを構成するファイルが当該ユーザーの端末に送信されて、リンク先のウェブサイトがユーザーの端末上に自動表示されるように設定されたリンク
フレームリンク ウェブブラウザの表示部をいくつかのフレームに区切り、フレームごとに当該フレームと対応づけられたリンク先のウェブページを表示させる態様のリンク

 

  ただ、ここでは

  • リンク元のHPを閲覧するユーザーからの見え方
  • リンク先のウェブサイトやサーバに違法にアップロードされた著作物(違法コンテンツ)があるかどうか

で以下の4つに分類し、検討を行うことにします。

 

パターン①:合法コンテンツへの非一体型リンク

パターン②:違法コンテンツへの非一体型リンク

パターン③:合法コンテンツへの一体型リンク

パターン④:違法コンテンツへの一体型リンク

 

(1)非一体型リンクとは

 リンク元のウェブサイト等に表示されたURL(Uniform Resource Locator)を踏むことで、著作物等を含んだコンテンツのある別のウェブサイト等へ飛んでいく形式を指すものとます。

 この形式だとブラウザ上の別タブ(ウィンドウ)や別ブラウザが立ち上がることが多いため、リンク元を閲覧していたユーザーは「リンク先とリンク元とは別のコンテンツであること」が容易に認識できる状態です。

 例としては、サーフェスリンクやディープリンクを含む通常のハイパーリンクがあげられます。

サーフェスリンク:

http://kanegoonta.hatenablog.com/

ディープリンク

http://kanegoonta.hatenablog.com/entry/2017/12/10/130245

 

 

(2)一体型リンクとは

 リンク元のウェブサイトの中に埋め込むようにリンク先のコンテンツを表示させる形式を指すものとます。画面上、リンク元のウェブサイトとリンク先のコンテンツが一体になって表示されているため、技術上は複製されていないのですが、ユーザーからはあたかも複製されているようにみえます。

 例としては イメージリンク、フレームリンク、インラインリンクがあげられますが、ちょっと文字だけだとイメージしにくいと思うので画像を利用しながら説明していきます。

 

・イメージリンク

 一般的には HTML上のイメージタグ<img>を利用した画像に関するリンクのことをいうケースが多いと思います。

 

例えば以下の画像ですが

https://pbs.twimg.com/media/DZHiKd_UQAA-4at.jpg:large

 このエントリーのHTMLを見てみると以下になっており

f:id:kanegoonta:20180617225428p:plain

 この中に

https://pbs.twimg.com/media/DZHiKd_UQAA-4at.jpg:large

とあり、これはTwitterの画像が保存されているサーバから画像をもってきていることがわかります。 

※ちなみにこの画像は、kanekoが自分のアカウントで昔Twitterにアップした画像です。

 

・フレームリンク:

 HTML上のインラインフレームタグ<iframe>等を利用したリンクを指すものとします。従来は、自己のHPの一部に枠を作りその中にリンク先を表示させる使用方法が多かったのですが、現在では、主にYouTubeニコニコ動画等の動画共有サイトの動画を自己のウェブサイトに埋め込み型でリンクを行う際に使用されることも多いです。英語ではFramingやEmbeddingといった用語が使われるように思います。(詳細は作花文雄「詳解 著作権法 第5版」p665以降参照)

 古典的なフレームリンクとしては、例えば以下のサイトが分かりやすいかと思います。

 

情報ネットワーク法学会 第16回研究大会 会場案内のページ

 

HTMLのソースも合わせてみるとこんなイメージです。

 

f:id:kanegoonta:20180617210328p:plain

情報ネットワーク法学会 第16回研究大会 会場案内のページhttp://windy.mind.meiji.ac.jp/InLaw2016/Venue.htmlよりkenakoが一部加工

 

 見ていただければわかるかと思いますが、上記は情報ネットワーク法学会のHPの中に明治大学のHPがフレームリンクとして設定されています。

 ここでのポイントは、「技術的にはリンク元(ここだと情報ネットワーク法学会側)はリンク先のコンテンツ明治大学のHP)の複製も送信も行っていない(リンク先のコンテンツはリンク先のサーバからからユーザーに直接祖送信されている)」点です。

 

図にすると以下のイメージ

f:id:kanegoonta:20180617212213p:plain

情報ネットワーク法学会 第16回研究大会にてkanekoが個別発表した際の資料を一部加工 

 

動画共有サイトから埋め込み型リンクを使用するケースだと以下

 

www.youtube.com

ちなみにRADだと「もしも」 が一番好き

 

(3)インラインリンクについて

 一体型リンクの中にはインラインリンクも含まれますが、kanekoの理解では、インラインリンクは、イメージリンクとフレームリンクを含む概念と理解しています。

 リツイート事件で問題となったTwitterリツイート行為もインラインリンクと理解されていると思います。

「RTによる画像トリミングで著作人格権侵害」 知財高裁判決の意味と影響 弁護士が解説 - ITmedia NEWS

 

 なお、この事件に関しては控訴人(原告写真家)側の代理人である齋藤先生が以下のHPにおいてコメントを公表しております。

リツイート事件控訴審判決とコンバイニング(平成28年ネ10101号発信者情報開示請求事件)

以下、上記HPよりポイントとなりそうな部分を一部引用

控訴人が同一性保持権や氏名表示権、あるいは控訴審において追加した複製権侵害、公衆送信権侵害、公衆伝達権侵害を主張した土台となる技術は、コンバイニング(仮)(正式な用語法ではありません。)と、控訴代理人が読んでいる技術です。ここではコンバイニング(仮)とは、文章と画像データを結合したレンダリングデータを生成してクライアントコンピュータのブラウザに表示する技術です。

※コンバイニング(仮)はインラインリンクを含む広い概念で、インラインリンクを含むパターンと含まないパターンがあり得るそうです。

もっとも主張の中でインラインリンクとこれより広いコンバイニング(仮)という概念を明確に区別していたわけではなく、両概念の明確な区別は判決後に事案を整理するために行っています。ただし、実質的な控訴人主張は一審主張はインラインリンクを基礎に、控訴審追加主張はコンバイニング(仮)を基礎に行われており、リツイート事件控訴審判決を読む限り、このコンバイニング(仮)(データの結合行為)の著作者人格権侵害が認められた、と読み替えた方が正確或いは理解がスムーズではないかと感じています。また、そこまで広げないと判例の意図が正確に伝わらない懸念も感じています。

 

リツイート事件はリツイートそのものではなく、インラインリンクを審理対象とし、さらに、控訴人側からはインラインリンク(つまりリンクの延長のような事象)ではなく画像と文章の同時表示を目的としたコンバイニング(仮)というデータ結合行為の著作権著作者人格権侵害が主張され、データ結合行為の主体性が争われた事案である事にはご留意ください。

 この事件は今後判例研究の題材として論文が多く出ることが予想されますが、上記を踏まえて判決文をみていく必要がありそうです。

 

(4)【余談】直リンクについて

  よくkanekoも実務上「第三者のサイトに直リンクしてもいいですか?」という相談がくるのですが、ここでいう「直リンク」の意味が人によって

  • ディープリンク」のことを意味して使用しているケース
  • 「フレームリンク」等の一体型リンクの意味で使用しているケース

があって混乱するときがよくあります。

 通常は後者の意味で使用されていると理解しているのですが、違うケースもあるので法律相談をされた場合には「直リンク」という言葉は使用しないようにしています。

 

(5)リンク先が違法コンテンツかどうか

 リンク先のウェブサイトやサーバに違法コンテンツがあり、ユーザーは違法コンテンツに容易にアクセスが可能な状態を指すものとします。アクセス形態としては、ユーザーがリンク先で違法コンテンツをダウンロードするパターン又はユーザーがリンク先の違法コンテンツの動画をストリーミング再生したり、画像又は文章等を閲覧するだけのパターンが想定されます。

 

 (6)まとめ

 以上をまとめますと、リンクを分類するにあたり、まずリンクの様態から2つに分類しました。

f:id:kanegoonta:20180617215426p:plain

情報ネットワーク法学会 第16回研究大会にて個別発表した際の資料を一部加工

 

 そして、さらにリンク先のコンテンツが違法にアップロードされたコンテンツかどうかでさらに分けました。

 

f:id:kanegoonta:20180617215522p:plain

情報ネットワーク法学会 第16回研究大会にて個別発表した際の資料を一部加工

 

 上記パターンを踏まえて次回以降のエントリーでは各パターンごとに法的問題点を検討していきたいと思います。

 

 少し先出しでそれぞれのパターンに該当する事件でkanekoの知る限り当てはめてみると

パターン① 合法コンテンツへの非一体型リンク

知る限り日本の裁判例はなし。(って昔言ったらとある方からYOL事件はどうなの?って言われた)

EUだと「Svensson事件先決裁定(Svensson and Other v. Retriever sverige AB(C-466/12)」とか。

米国だと古いですが「Ticketmaster事件(Ticketmaster Corp. v. Ticket.com,inc. (C.D.Cal.Mar.27,2000,54U.S.P.Q2d.)」とか

 

パターン② 違法コンテンツへの非一体型リンク

 日本だとちょっと特殊ですが、「どーじんぐ娘。事件(LEX/DB 文献番号25446210)」。あ、DVD Shrink事件って裁判なったんでしたっけ?

いわゆるリーチサイトの議論は主にこのパターンの場合が多いですかね。

EUだと「GS Media事件先決裁(GS Media BV v. Sanoma Media Netherlands BV and Others(C-160/15))」とか

 

パターン③ 合法コンテンツへの一体型リンク

kanekoの知る限り日本で裁判になった事件はない、はず。

裁判ではないですが、まとめサイトの炎上の際には第三者委員会によってイメージリンク(直リンク)の法的問題点が検討されていました。

また、JASRACは「営利性のあるサイト(広告収入含む)に埋め込み型リンクで動画共有サイトの動画(音楽)を利用する」行為に関して、インタラクティブ配信の許諾手続きを求めていますね。(あ、kanekoはこのブログに広告収入設定してないっす。hatena側の広告表示がされてる件については知りません。笑)

EUはCJEUレベルだとない認識ですが、Svensson事件先決裁定の中でパターン③についても言及されています。

 

パターン④ 違法コンテンツへの一体型リンク

最初に言及したリツイート事件やインラインに著作権侵害の幇助が認められた事件、「ロケットニュース24事件(東京地判平成28年9月15日 平成27年(ワ)第17928号発信者情報開示請求事件)」が該当しますが、今後も増えていきそうですね。

EUのCJEUレベルだと「BestWater事件(BestWater International GmbH v. Michael Mebes and Stefan Potsch(C-348/13))」とか(ただし、CJEUにおいてReasoned Orderとして判決がだされており、かつリンク先が違法コンテンツであることが考慮された判決ではないようです。その後ドイツ国内においてどのような判決が下されたかはkaneko未確認)

米国だと「Perfect10事件(Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc., 508 F.3d 1146 (9th Cir. 2007)とかPerfect 10 v. Google,Inc., et al.,416 F. Supp. 2d 828(C.D. Cal. 2006))」。最近はTwitterのエンベットが著作権侵害になりうる判決がでている見たいですね。

米地裁、ツイートのエンベッドが著作権侵害にあたりうるとの判決を下す – P2Pとかその辺のお話R

 

こんな感じ?

 

 

つづく。

---------------------------------------

【更新履歴】

6/23 インラインリンクに関する見解を追記・修正