kanegonta’s blog

著作権や特許とかを趣味程度に勉強している企業ホーマーのまとまりのない日記。あくまで個人的な見解であり、正確性等の保証はできませんので予めご了承くださいませ。

リンクと著作権(1)~リンクを分類する~

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 Twitterリツイート行為に著作者人格権侵害に該当する知財高裁の判決が話題になっています。

「RTで画像自動トリミング、著作者人格権侵害に当たる」 知財高裁判決、Twitterユーザーに衝撃 - ITmedia NEWS

リツイートは著作者人格権(同一性保持権)侵害だとした知財高裁判決に対するTwitterユーザの反応 - Togetter


 また、上記判決とは別にインラインリンクに著作権侵害の幇助が認められる旨の判決もでているようです。

著作権・知的財産権・ウェブ・デジタル法務特設サイト/I2練馬斉藤法律事務所

 

 Twitterリツイート行為もいわゆる「インラインリンク」に該当するため、どちらもリンクに著作権侵害(またはその幇助)が認められた事例といえるでしょう。

 ただ、今回の判決は日常で当たり前のように行われている「リンク」が全て著作権侵害に該当するわけではないと思っています。

  個人的にリツイート事件の判決には納得がいっていないのですが、今回の判決も含めて改めて「リンクと著作権」について検討してみたいと思ってブログを書いてみます。

 

※本エントリーはkanekoが個人的興味に基づき、過去調べてまとめたものです。正確性等については保証できませんのであらかじめご了承ください。(間違っていたら修正しますのでご指摘お願いします。)

 

 まず今回のエントリーではリンクの形式を分類していこうと思います。

 

 1.リンクの分類

 リンクとは「他のWEBページ等のコンテンツ(リンク先)を直接参照できるようにする仕組み」のことであり、経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(平成29年6月)においては、リンク様態を以下の5つに分類しています。

 

サーフェスリンク 他のウェブサイトのトップページに通常の方式で設定されたリンク
※「通常の方式で設定されたリンク」とは、ユーザーがリンク元に表示された URL をクリックする等の行為を行うことによってリンク先と接続し、リンク先と接続することによってリンク元との接続が切断される場合のリンク
ディープリンク 他のウェブサイトのウェブページのトップページではなく、下の階層のウェブページに通常の方式で設定されたリンク
イメージリンク 他のウェブサイト中の特定の画像についてのみ設定されたリンク
インラインリン ユーザーの操作を介することなく、リンク元のウェブページが立ち上がった時に、自動的にリンク先のウェブサイトの画面又はこれを構成するファイルが当該ユーザーの端末に送信されて、リンク先のウェブサイトがユーザーの端末上に自動表示されるように設定されたリンク
フレームリンク ウェブブラウザの表示部をいくつかのフレームに区切り、フレームごとに当該フレームと対応づけられたリンク先のウェブページを表示させる態様のリンク

 

  ただ、ここでは

  • リンク元のHPを閲覧するユーザーからの見え方
  • リンク先のウェブサイトやサーバに違法にアップロードされた著作物(違法コンテンツ)があるかどうか

で以下の4つに分類し、検討を行うことにします。

 

パターン①:合法コンテンツへの非一体型リンク

パターン②:違法コンテンツへの非一体型リンク

パターン③:合法コンテンツへの一体型リンク

パターン④:違法コンテンツへの一体型リンク

 

(1)非一体型リンクとは

 リンク元のウェブサイト等に表示されたURL(Uniform Resource Locator)を踏むことで、著作物等を含んだコンテンツのある別のウェブサイト等へ飛んでいく形式を指すものとます。

 この形式だとブラウザ上の別タブ(ウィンドウ)や別ブラウザが立ち上がることが多いため、リンク元を閲覧していたユーザーは「リンク先とリンク元とは別のコンテンツであること」が容易に認識できる状態です。

 例としては、サーフェスリンクやディープリンクを含む通常のハイパーリンクがあげられます。

サーフェスリンク:

http://kanegoonta.hatenablog.com/

ディープリンク

http://kanegoonta.hatenablog.com/entry/2017/12/10/130245

 

 

(2)一体型リンクとは

 リンク元のウェブサイトの中に埋め込むようにリンク先のコンテンツを表示させる形式を指すものとます。画面上、リンク元のウェブサイトとリンク先のコンテンツが一体になって表示されているため、技術上は複製されていないのですが、ユーザーからはあたかも複製されているようにみえます。

 例としては イメージリンク、フレームリンク、インラインリンクがあげられますが、ちょっと文字だけだとイメージしにくいと思うので画像を利用しながら説明していきます。

 

・イメージリンク

 一般的には HTML上のイメージタグ<img>を利用した画像に関するリンクのことをいうケースが多いと思います。

 

例えば以下の画像ですが

https://pbs.twimg.com/media/DZHiKd_UQAA-4at.jpg:large

 このエントリーのHTMLを見てみると以下になっており

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 この中に

https://pbs.twimg.com/media/DZHiKd_UQAA-4at.jpg:large

とあり、これはTwitterの画像が保存されているサーバから画像をもってきていることがわかります。 

※ちなみにこの画像は、kanekoが自分のアカウントで昔Twitterにアップした画像です。

 

・フレームリンク:

 HTML上のインラインフレームタグ<iframe>等を利用したリンクを指すものとします。従来は、自己のHPの一部に枠を作りその中にリンク先を表示させる使用方法が多かったのですが、現在では、主にYouTubeニコニコ動画等の動画共有サイトの動画を自己のウェブサイトに埋め込み型でリンクを行う際に使用されることも多いです。英語ではFramingやEmbeddingといった用語が使われます。

 古典的なフレームリンクとしては、例えば以下のサイトが分かりやすいかと思います。

 

情報ネットワーク法学会 第16回研究大会 会場案内のページ

 

HTMLのソースも合わせてみるとこんなイメージです。

 

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情報ネットワーク法学会 第16回研究大会 会場案内のページhttp://windy.mind.meiji.ac.jp/InLaw2016/Venue.htmlよりkenakoが一部加工

 

 見ていただければわかるかと思いますが、上記は情報ネットワーク法学会のHPの中に明治大学のHPがフレームリンクとして設定されています。

 ここでのポイントは、「技術的にはリンク元(ここだと情報ネットワーク法学会側)はリンク先のコンテンツ明治大学のHP)の複製も送信も行っていない(リンク先のコンテンツはリンク先のサーバからからユーザーに直接祖送信されている)」点です。

 

図にすると以下のイメージ

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情報ネットワーク法学会 第16回研究大会にてkanekoが個別発表した際の資料を一部加工 

 

動画共有サイトから埋め込み型リンクを使用するケースだと以下

 

www.youtube.com

ちなみにRADだと「もしも」 が一番好き

 

 なお、インラインリンクはTwitterリツイート行為が該当しますが、イメージリンクでもあるし、フレームリンクでもあると理解しているため、 厳密に定義する必要はないのかなと思っております。

 

(3)【余談】直リンクについて

  よくkanekoも実務上「第三者のサイトに直リンクしてもいいですか?」という相談がくるのですが、ここでいう「直リンク」の意味が人によって

  • ディープリンク」のことを意味して使用しているケース
  • 「フレームリンク」等の一体型リンクの意味で使用しているケース

があって混乱するときがよくあります。

 通常は後者の意味で使用されていると理解しているのですが、違うケースもあるので法的アドバイスをする際には「直リンク」という言葉は使用しないようにしています。

 

(4)リンク先が違法コンテンツかどうか

 リンク先のウェブサイトやサーバに違法コンテンツがあり、ユーザーは違法コンテンツに容易にアクセスが可能な状態を指すものとします。アクセス形態としては、ユーザーがリンク先で違法コンテンツをダウンロードするパターン又はユーザーがリンク先の違法コンテンツの動画をストリーミング再生したり、画像又は文章等を閲覧するだけのパターンが想定されます。

 

 (5)まとめ

 以上をまとめますと、まず、リンクの様態から2つに分類しました。

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情報ネットワーク法学会 第16回研究大会にて個別発表した際の資料を一部加工

 

 そして、さらにリンク先のコンテンツが違法にアップロードされたコンテンツかどうかでさらに分けました。

 

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情報ネットワーク法学会 第16回研究大会にて個別発表した際の資料を一部加工

 

 上記パターンを踏まえて次回以降のエントリーでは各パターンごとに法的問題点を検討していきたいと思います。

 

 少し先出しでそれぞれのパターンに該当する事件でkanekoの知る限り当てはめてみると

パターン① 合法コンテンツへの非一体型リンク

知る限り日本の裁判例はなし。(って昔言ったらとある方からYOL事件はどうなの?って言われた)

EUだと「Svensson事件先決裁定(Svensson and Other v. Retriever sverige AB(C-466/12)」とか。

米国だと古いですが「Ticketmaster事件(Ticketmaster Corp. v. Ticket.com,inc. (C.D.Cal.Mar.27,2000,54U.S.P.Q2d.)」とか

 

パターン② 違法コンテンツへの非一体型リンク

 日本だとちょっと特殊ですが、「どーじんぐ娘。事件(LEX/DB 文献番号25446210)」。あ、DVD Shrink事件って裁判なったんでしたっけ?

いわゆるリーチサイトの議論は主にこのパターンの場合が多いですかね。

EUだと「GS Media事件先決裁(GS Media BV v. Sanoma Media Netherlands BV and Others(C-160/15))」とか

 

パターン③ 合法コンテンツへの一体型リンク

kanekoの知る限り日本で裁判になった事件はない、はず。

裁判ではないですが、まとめサイトの炎上の際には第三者委員会によってイメージリンク(直リンク)の法的問題点が検討されていました。

また、JASRACは「営利性のあるサイト(広告収入含む)に埋め込み型リンクで動画共有サイトの動画(音楽)を利用する」行為に関して、インタラクティブ配信の許諾手続きを求めていますね。(あ、kanekoはこのブログに広告収入設定してないっす。hatena側の広告表示がされてる件については知りません。笑)

EUはCJEUレベルだとない認識ですが、Svensson事件先決裁定の中でパターン③についても言及されています。

 

パターン④ 違法コンテンツへの一体型リンク

最初に言及したリツイート事件やインラインに著作権侵害の幇助が認められた事件、「ロケットニュース24事件(東京地判平成28年9月15日 平成27年(ワ)第17928号発信者情報開示請求事件)」が該当しますが、今後も増えていきそうですね。

EUのCJEUレベルだと「BestWater事件(BestWater International GmbH v. Michael Mebes and Stefan Potsch(C-348/13))」とか(ただし、CJEUにおいてReasoned Orderとして判決がだされており、かつリンク先が違法コンテンツであることが考慮された判決ではないようです。その後ドイツ国内においてどのような判決が下されたかはkaneko未確認)

米国だと「Perfect10事件(Perfect 10, Inc. v. Amazon.com, Inc., 508 F.3d 1146 (9th Cir. 2007)とかPerfect 10 v. Google,Inc., et al.,416 F. Supp. 2d 828(C.D. Cal. 2006))」。最近はTwitterのエンベットが著作権侵害になりうる判決がでている見たいですね。

米地裁、ツイートのエンベッドが著作権侵害にあたりうるとの判決を下す – P2Pとかその辺のお話R

 

こんな感じ?

 

 

つづく。

自炊を始めてみた。

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料理でありません。念のため。

書籍の自炊を始めてみたのでメモ。

 

 

 

1 自炊までの流れ

(1)裁断機器とスキャナを買う

何事も始めるには道具がいります。

テニスを始めるにはラケットがいるように。

自分に合った道具探しは重要です。

ということで、Kanekoのネットリサーチ能力を駆使した結果、以下の相棒をチョイスしました。

  

富士通 ScanSnap iX500 (A4/両面)

富士通 ScanSnap iX500 (A4/両面)

 
DURODEX 自炊裁断機 ブラック 200DX

DURODEX 自炊裁断機 ブラック 200DX

 

 

(2)閲覧するデバイスを決める

のいずれかと思いますが、通常はタブレットでしょうか。

ちなみにkanekoはタブレット検討中です。

お勧めあれば教えてください!

 

(3)電子化する書籍を決める

おっとまだ裁断するのは早い早い。

まずは自炊する書籍をチョイスせねばなりません。

蔵書から電子化する書籍の優先順位を確定させます。

おそらく優先順位の決め方としては

対象となる書籍の利用頻度

対象となる書籍の電子化のしやすさでしょう。

Kaneko利用頻度としては

  • 法律書籍
  • ビジネス書籍
  • マンガ
  • 雑誌

の順なのですが、電子化のしやすさはまったく逆ですね。苦笑

 

(4)ファイル格納先を決める

次は電子化したファイルの格納先を決めましょう。

選択肢としては

でしょう。(自宅に自前のネットワークサーバを立てる奴は除く)

複数の端末からアクセスできることを踏まえると圧倒的にクラウドサービスですね。

kanekoはいったんDropboxをチョイス。

 

(5)書籍を裁断する

これを

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※刑裁サイ太「大嘘判例八百選[第5版]」なお、サイ太先生直筆サイン入り

 

こうして

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※刑裁サイ太「大嘘判例八百選[第5版]」くどいようですが、サイ太先生直筆サイン入り

 

こうじゃ

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 ※刑裁サイ太「大嘘判例八百選[第5版]」何度でも言いますが、サイ太先生直筆サイン入り

 

(6)スキャンする

両面&OCRでスキャン。紙詰まりもなくするすると読み込みます。

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 ※刑裁サイ太「大嘘判例八百選[第5版]」

 

きれいにスキャンできました。

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※刑裁サイ太「大嘘判例八百選[第5版]」

 

OCRをかければ文字読み取りも可能(ちょっと感動

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※刑裁サイ太「大嘘判例八百選[第5版]」

 

(7)ファイルを格納する

(3)でチョイスした場所にファイルを格納した完了!

 

 

2 自炊のメリット・デメリット

(1)メリット

  • 省スペース化

当たり前ですが書籍が占領していたスペースが空きます。床が見える!

  • アクセス性

クラウドサービスを利用すればアクセスするのにデバイスや場所を選びません。

  • 検索性

地味に使えるのがOCRでの検索。

特に調べたいことを論文の中から探すのに最適です。

 

(2)デメリット

裁断とスキャンがメンドイ

 これしかない。

金を出してもいいから自炊代行したい。

 

3 自炊と著作権について

(1)自炊と著作権

一応知財クラスタとして触れておきましょう。

自炊は著作物を複製(コピー)する行為ですので、著作権法上の問題がある場合があります。

自炊について詳細に解説されている基本書を探したところ、 三山裕三「著作権法詳説 判例で読む14章 第10版」(勁草書房、2016)において以下のように書かれていました。

 

  1. 購読者本人によるスキャン(複製)は30条でセーフである。
  2. 購読者本人が書籍等を裁断、廃棄しても書籍等の所有権を有する以上、所有権の侵害にはならず、また著作物を利用しているわけでもないから、著作権の侵害にもならない。
  3. 裁断済み書籍等を譲渡しても、譲渡権はファーストセールですでに消尽しているので、譲渡権侵害にはならない。
  4. 30条でセーフの複製物を配布したり、公衆に提示したりすると、目的外使用(49条)となりアウト(複製侵害)になる。

P339 

 

要は「基本は自分で自炊して楽しむ分には問題ないよ」ということです。

では自炊代行の場合(業者による自炊の手助けがある場合)はどうでしょうか

 

(2)自炊代行と著作権

先ほどの三山本では自炊代行を3パターンに分けて法的問題を以下のように考察しています。

 

1.業者が道具と場のみを提供する形態

 顧客自身が複製しているので著作権法上はセーフであり、顧客に不法行為が成立しない以上、従属説(直接侵害の成立が間接侵害の成立の前提であるとする考え方であり、ここでは顧客に著作権侵害が成立してはじめて業者にも著作権侵害が成立すると考えることになる)の立場に立てば業者は幇助にもならず、書籍等の売上減もない。

 

2.業者が裁断済み書籍を提供する形態

 顧客自身が複製しているので著作権法上はセーフであり、顧客に不法行為が成立しない以上、従属説の立場に立てば業者は幇助にもならず、また店舗外への持出しがなく占有の移転もないから、貸与権侵害にもならない。書籍の売上減があるので著者や出版社の立場からはアウトにしたいところだが、著作権侵害か否かは書籍の売上減(実害)があるか否かにより影響を受けないので、セーフという結論は変わらない。もっとも、貸しレコード問題のところで指摘したのと同様に、「業者の貸与行為」と「顧客による複製行為」を一連のものとしてとらえるならば、アウトという結論も可能かもしれない。

 

3.業者がスキャンを代行する形態(業者がスキャンするので正確には他炊である)

 業者による複製は30条1項の「使用する者が複製することができる」の規定に反しているのでアウトであると解される。書籍の売上減はないが、著作権侵害か否かの結論は書籍の売上減(実害)があるか否かにより影響を受けないので、アウトという結論は変わらない。

P339~340

 

上記だと「スキャンは購読者(利用者)本人が行うが、裁断を業者が行う場合はどうなのだろう」という疑問が。

 自炊代行は訴訟になっているため、判決文(知財高裁平成26年10月22日判決)をざっと読んでみますと、

「ロクラクⅡ」事件最高裁判決(平成23年1月20日判決)における枢要行為論を利用して

 

本件における複製は、書籍を電子ファイル化するという点に特色があり、電子ファイル化の作業が複製における枢要な行為というべきであるところ、その枢要な行為をしているのは、法人被告らであって、利用者ではない。

 

と述べられています。

電子ファイル化作業=枢要行為

電子ファイル化作業を行う者=複製行為の主体

ということですので、「スキャンして電子ファイル化するのが誰か」がキーになるということかと思います。

ところで少し話しがずれるのですが、藤田晶子「著作権法判例における規範的主体論」(コピライト2016年5月号、2016)は自炊代行の事件にジュークボックス法理での当てはめを検討していて非常に興味深いです。

 

とすると、裁断を業者が行うのはOKなのかなーと思ってググってみたところ、

一時期話題になった「自炊の森」が裁断の代行サービスをやっていることに気づきました。(というか、営業再開してたんやなここ)

www.jisuinomori.com

 

適法性に関するページまでわざわざ作ってたんですね。(なお、中身についてはノーコメントで)

www.jisuinomori.com

 

というか、HPを見ると裁断代行だけでなく、三山本でいう「2.業者が裁断済み書籍を提供する形態」のパターンで今も営業しているっぽいですね。 取り扱えない作家リストもわざわざ作ってあるし。。。

 

 

おしまい。

 

エルレ復活

エルレ復活】
 契約書タイムバトルと同じ日にビックニュースが飛び込んできました。

 

www.huffingtonpost.jp

 

初めてエルレを聞いたのは高校2年生のときに友達から借りたアルバム「Riot On The Grill」で

 

アルバムの中の「RED HOT」と「虹」を初めて聞いたときは衝撃だったわけで

youtu.be

www.youtube.com

※動画は全て公式YouTube動画のembedです。 

 

海外の人と間違えるくらい流暢な英語だったので、最初は(やたら日本語の上手い)外国人のバンドと誤解してたし

 

ELEVEN FIRECRACKERSのアルバムはMD(死語)に入れて壊れるまで聞きまくったし 

www.youtube.com

www.youtube.com

 

カラオケで歌おうと思ったけど英語できなくて「ららららぁ~」で歌ったし

 

生まれて初めてのライブは幕張メッセエルレのツアーだったし

 

まぁ、青春が詰まっているわけです。

 

「17歳に聞いていた音楽は生涯聴き続ける」とかいうじゃないですか。(ソースは不明

 

kanekoの場合だとエルレの他にアジカンバンプ、ラッドであったり、

洋楽だとSimplePlan、Green DayAerosmithAvril Lavigneあたりなわけですが、

やっぱりいまだに聴き続けているわけですよ。

 

 それだけに、活動休止が発表された当時(たぶん大学生)は衝撃でした。

 

エルレが活動中止したあとは、The HIATUSとかNothing's Carved In Stoneとか聞いたけど

「やっぱこれじゃねぇな」と思ってたし 

www.youtube.com

www.youtube.com

 

MONOEYESを聞いて「あ、なんかだんだん近くなってきたな」と思っていたところで。

www.youtube.com

 

もう10年ですか。

ようやくですか。

 

 

待ってました。

 久しぶりにライブ行きたいな。

 

 おしまい

契約書タイムバトルを観戦してきた。

 

法の専門家が決められた時間内にオンライン上の一つの契約書を編集しあうリーガルバトルゲーム「契約書タイムバトル」に観客として参加してきました。

概要はコチラ

 

Twitterのトレンド入りするくらい盛り上がりました。

 Togetterは↓

togetter.com

 

 

動画だとこんな感じでした↓

www.youtube.com

 

個人的には「契約書なんかで盛り上がるのかな?」という感じを持っていましたが、予想に反して盛り上がりました。

 黙々と契約書を修正するのではなく、プロによるリングアナウンス、音響、はっしーさんの名司会(解説)によってお堅い契約書修正が見事にエンタメ化(e-sports化?)していました。

 

Twitterハッシュタグを追うと意外と法務以外の参加者の人が多いことに驚きつつも

このように(法務以外の人から見たらブラックボックスな?)法務の業務の一部が可視化されて法務以外の人にも認知されることになるのであれば法務の端くれとしては嬉しく思うのであります。

 

この企画には賛否両論あったと思うのですが(自分のTL上では少なくともそうでした)、個人的には面白いと思いましたし、今後も続けてほしいなと思います。

表彰の際に言われた

「AI vs 人間」の戦いも見てみたいものです。

 

個人的に勉強になったのは以下のポイント

 

  • 実態に合わせた契約書にする重要さ

改めて大事だなと。最後の伊藤先生の「訴訟になると契約書の文言の一字一句で争いになる。修正過程も含めて。」的なコメント(kanekoのうろ覚え)が響きました。

 

  • NDAにおける反社条項を削除するかという論点?がある。

 個人的には反社条項ってそこまで気にしてない(明らかに反社排除以上のレベル感の内容であったり、反社の対象に株主も含まれるような場合は修正するくらい。)のですが、ときどき削除してくる会社あるなぁと思ったり。

ちなみにkanekoはいつも

 

  • 最終手段はよくない

実はやられたことあるので。笑

 

  •  自社でやっても面白いかも

 

なるほど。これやったら面白そう。でもこれ実況(解説者)のスキルが大事だと思うんですよ。笑

 

おしまい。

【書評】詳解著作権法 第5版

 

詳解 著作権法(第5版)

詳解 著作権法(第5版)

 

 

 

待ちに待った作花文雄先生の著作権法の基本書です。

 

「詳解」と書かれている通り900ページ以上あるのでなかなかの分量です。

※通読するのに2ヶ月近くかかりました・・・

 

↓ぶあつい・・・

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まず、個人的感想としては、

「法務にオススメの一冊か」というより

「実務書というよりも学術書の性格が強い本なので人を選ぶ本」

という感じです。

 

以下、本書の特徴を挙げながら感想をつらつらと。

 【本書の特徴】

・日本だけでなく、海外判例もカバーしている

・時折見られる批判(作花説?)が興味深い

判例索引が使いやすい

・その他

 

 

・日本だけでなく、海外判例もカバーしている

 本書の最も特徴的なのはこの点でしょうか。

欧米の判例が非常に多く取り上げられています。過去作花先生がコピライトに載せた論文を要約して載せているようなイメージですが、分量は豊富ですので、日本法と比較しながら読むことができます。

特に、応用美術、間接侵害、(今話題の)サイトブロッキング、リンク、P2PGoogle Books訴訟、パロディといった分野は欧米の判例がしっかり解説されています。

海外判例の紹介については、(日本法の解説の箇所とは異なり)自説を述べるのではなく、淡々と判例の解説をしているイメージです。

また欧米の判例だけでなく、世界的な著作権法の歴史(もはや印刷技術史の解説)や著作権関連の条約もカバーされており、著作権法の国際的な枠組みも理解することができます。

 

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※EUにおけるリンクの解説

 

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著作権の歴史?

 

 

・時折見られる批判(作花説?)が興味深い

以下、いくつかピックアップしてみました。

中山著作権法に対して

例えば中山著作権法へのdisりとしてはこんな点が。

中山著作権法が「プログラムの著作物の創作性」について

『同じ「個性」という言葉を用いながらも、プログラムとその他の著作物(小説等)は異なる点を踏まえて、創作性概念を個性ではなく、表現の選択の幅として捉えるべきとしている』趣旨が書かれていることに関して、

しかし、プログラムの表現と小説等の表現に特性の差異があることは当然のこととしても、「個性」が「異なった概念」として用いられているわけでは必ずしもないと思われる。また、「表現の選択の幅」が存在することは、個性に基づく表現がなされる上での前提となるものであり、殊更に創作性概念を個性ではなく「表現の選択の幅」として捉える意味は、さほどないものと思われる。p68

といっていたり、「ありふれた表現」に関する捉え方についても批判的にコメントしています。あと46条の公開の美術の著作物の利用に関する箇所でも中山著作権法を痛烈に批判しています。

 

 島並・上野・横山「著作権法入門」に対して

初学者のスタンダードな入門書である「著作権法入門」に対しては、

島並・上野・横山「著作権法入門」(有斐閣、2009年)では、本書第3版284頁を引用しつつ、「後者の立場では、通常の喫茶店や理美容室での雑誌の店内貸出しは、実質的に非営利・無料の貸与(38条4項)であるとして救済せざるをえないが・・・」と述べられているが(152頁)、本書第3版では本版と同様に「・・・料理飲食店や理美容室院等における顧客の待ち時間用に供されており、当該利用行為に対して著作権法上の排他的権利を認める合理性はない。」(第3版285頁)と記述しており、第38条第4項の適用による救済などは想定しておらず、同書では拙著の趣旨を歪曲的に引用して論が展開されていると思われる。p264

と書かれています。

わざわざ脚注でたくさん書くほどなので

作花先生、かな~りご立腹であったことが推測されます。

でも著作権法入門はいい書籍ですよ!!(謎のフォロー

※ちなみに著作権法入門は2016年に第2版が発売されています(初版は2009年) 

 
著作権法上の「利用」と「使用」

 次に非常に興味深かったのがコチラ(中略はkaneko)

著作権法上、利用とは支分権の働く行為を意味し、使用とはそれ以外を意味しているとの説明がなされることもあるが(例えば、斉藤・著作権法55~57頁)、必ずしもそのような制定趣旨があるわけではない。・・・(中略)・・・少なくとも、著作権の支分権の対象となるか否かで言葉が使い分けられているわけではない。p209~210

えーーーーーーーーーーー

結構契約書をドラフトするとき等には先輩に指摘されることも多く、明確に使い分けされてると思ってたんですが違うんですか。個人的に衝撃です。

 

と思っていろいろ調べてたら同じように調べてるマンサバさんのエントリーを発見しました。

blog.livedoor.jp

他の基本書では使い分けの説明がちゃんとされてるのもあるみたいですね。

 

 フェアユースについて

賛否両論の多いフェアユースに対しては、

フェアユース規定がないために、現行著作権法は硬直的であり現実に対応し得ないという前提自体が、むしろ硬直的な考え方であると思われる。p330

ここまで言われるとしびれますね。笑

フェアユース規定がないから日本の著作権法はダメなんだ」という人への強烈なアンサーです。笑

このあたりの考え方は中山先生とは違う点かもしれません。

今回の改正法(柔軟な権利制限規定の創設)に対する作花先生の評価が聞きたいところです。

 

38条の条文構成への批判

38条(営利を目的といない上演等)第3項のわかりにくい条文構成について

前段と後段の書き分けにより、そのように解するのであるが、条文の作りとしては不明瞭なものと言わざるを得ない。このように、知っている人には分かるという条文は、現行法において散見されるが、立法技術として妥当なものではない。p356(下線部はkaneko)

「うんうん」と頷きながら読みました。

これは著作権法を勉強した当初からずーっと思っていることではありますが、(特許等のほかの知的財産法に比べて)著作権って一般の人も触れることの多い法律なのに分かりにくいですよね。正直条文だけ読んでもちんぷんかんぷんです。

 

法制執務用語研究会の「条文の読み方」(有斐閣、2012年)のはしがきには以下のように書かれています。

 

法律をつくる場合(あるいは、契約書などの条項をつくる場合も同じですが)は、条文は、何よりも一義的に明確、かつ、平易なものであることが重要になってきます。必ずしも専門家ではない、条文を読む普通の人々=一般の国民にとって、行為の予測可能性が確保できるよう、そして、予期せぬ不意討ちを受け無用なトラブルに巻き込まれることのないように、あらかじめ配慮しておくことが極めて大切になってきます。p1 

 (「いや、法制局の作る法律条文全般的に一般人にはわかりにくくね?」というご指摘はここではなしでお願いします。苦笑)

例えば、今回の著作権法改正の条文案(前のブログ参照)だけを見て理解できる人ってどれくらいいるのでしょうか。少なくとも一般の人には難解すぎると思います。

個人的な感覚ですが、著作権法って身近な法律であるにもかかわらず、間違った理解をしている人が多いと思ってます。(企業の法務部員でさえ間違った理解をしている人が結構います。。。)

そして、間違った理解をした人が第三者にドヤ顔?で間違った指摘することも多いように思われます。

というわけで、もっとわかりやすい条文にしてほしいなと思うところです。(「契約書って何書いてあるかよくわかんないので確認してください!」という営業からのメールを見て遠い目をしながら)

 

 

 ・判例索引が使いやすい

この手の基本書は判例索引が最後についているのですが、判決の日付順になっており、使いにくいと感じることが個人的によくあります。

本書は「事件名のあいえうお順」になっているため、使いやすいです。

 

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著作権の事件は変わった名前の事件も多いことがわかります。

 

 

 ・その他

以下、箇条書きに

  • オランダ著作権法では、写真の著作物について、被写体である者が自ら写真を複製する行為は制限規定で許される(知らんかった)p95
  • 著作権判例百選事件について、「本件の著作者性の認定の是非はともかくとして、この分野の刊行物の企画・編集の舞台裏が詳らかにされている点では、珍しい事案と言える」とコメントしていて個人的に笑ってしまった。

 

なお、本エントリーに合わせて、過去投稿したオススメ著作権本のエントリーも一部修正しました。

kanegoonta.hatenablog.com

 

 

おしまい。

【メモ】今月のビジネスロージャーナル

 

 

どうでもいいのですが、このツイートとても好きです。

 

というわけで最近ブログ更新できていなかったので更新。

 

今月のビジネスロージャーナルのうち、いくつか気になった記事の感想をメモ。

Business Law Journal(ビジネスロー・ジャーナル)2018年 06 月号 [雑誌]

Business Law Journal(ビジネスロー・ジャーナル)2018年 06 月号 [雑誌]

 

 

↓メモした記事

 

 

【あの商品を支える知財法務のチカラ 「脱臭炭」】

エステーの法務の方へのインタビュー。

気になったのは「この商品の肝ともいえるゼリー状の炭に関する特許出願明細書は、急いで作成し、弁理士に相談する余裕もなくそのまま出願したぐらいです。」という1文。

どの特許だろうと思って調べてみました。

 

J-PlatPatで

「権利者:エステー」and「全文:炭」で雑に検索し、2000年頃に出願された特許を閲覧してみると、いくつか該当しそうなのがヒット。

「特開2001-157706」あたりかな。

出願内容はこちら

 

請求項1が「 炭素系またはシリカ系吸着剤をゲル中に分散してなるゲル状脱臭剤」なのでこれかなぁと。(間違ってるかもしれません。)

 

ちなみに請求項は修正されていますが、2010年に特許になっている模様(特許第4562838号)。10年くらいかかったんですね。

 

 

【上場会社のD&O保険の論点と社内手続】

オリックのポートフォリオ管理部の方の記事。

D&O保険って

  • 支払限度額どうするか
  • 補償範囲をそうするか
  • カバーする地域的範囲をどうするか(現地証券を発行するか)

は本当に悩ましいと個人的に感じます。

(決裁権限のある(可能性の高い)役員の方々は自分の身を守るためのものでもあるので「高ければ高い方がいい」というのでしょうが・・・)

「各社の個別事情が反映されるものであり、一概に一般化できない部分も少なくない」と書かれているとおり、企業の業種・規模等によって変わってくるとは思いますが、適切な落としどころを見極めていきたいものです。

「ふむふむ」と思った点は以下3点

  • 支払限度額が適切かどうか、最終的な判断のよりどころは「もし株主や投資家にD&O保険の情報を開示した場合に、理論性前途説明できるかどうか」
  • 支払限度額は一般的な東証一部企業だと7~10億。意識高いと50億以上
  • 国によっては現地証券発行していないとマズイ
  • 米国型D&O保険が必ずしも適切ではない(比較するといい保険に見えてしまうけど不要な補償も結構ある。内枠方式だとクリティカルではない部分で貴重な支払限度額を使ってしまうかも。)

 

外国人役員がいる場合は外国基準を求められるケースもあると思うので難しいよなぁと。

ちなみに、保険料の役員個人負担が一定条件の下、会社負担にできるようになったのは画期的だと当時思いました。外国人役員がいると大変なんですよねこれ(遠い目

 

【AIによる個人情報の取扱いの留意点】

「ふむふむ」と思った点は以下

  • 取得時には要配慮個人情報を含まないが、AIの推論の結果、出力される個人情報に要配慮個人情報が含まれる場合は要配慮個人情報の取得には該当しないと思われるが、実務的には同意とっておくのが無難
  • 利用目的の特定(個人情報保護法15条1項)は、一連の取扱いにより最終的に達成しようとする目的を特定することを求めているため、「AIを用いる」というここの取扱いのプロセスを利用目的として特定することは必ずしも求めていないが、「AIを用いる」ことが事業の重要な内容となっている場合には利用目的として含めるのが無難。
  • AIによる推論の結果(評価)自体は訂正等請求の対象にならない。

 

【債権法改正がシステム・ソフトウェア業界に与える影響】

今回は「定型約款の規定が利用規約にどう影響を与えるのか」という点の解説。

この分野は民法改正の本を読んでもあまり記載がされていない部分なので助かります。利用規約の内容をどうするか(不当条項が含まれているか)、同意はどのように取得するのか、変更時はどのような手順をとるか、といった点は個人情報保護法における同意の取得の話と合わせて考える必要ありますよね。

利用規約を作成する側としては、ここも悩ましいところです。(裁判例も少ないですし)

 

企業会計法】

ICOの会計処理」がテーマなので興味深く拝見しました。

ただ、前提となる会計知識の不足を感じました。勉強しよう。。。

 

【法務部門における品質確保・向上の方法論】

個人的にここに課題感をもっているので、参考になりました。第1回から読み直そうかな。

 

 

ところで、なんか今月号、T○Iの人の記事が多くないですか?気のせい?笑

 

著作権法の改正案を流し読みしてみた

どうも、3月の繁忙期を乗り越えられることができるのか不安でいっぱいなkanekoです。

 

さて、著作権法の改正案が閣議決定したとのニュースに接しましたので、ざっと目を通しました。

mainichi.jp

 

法律案はコチラ


※以下、kanekoの頭の整理のためにまとめたものですので、正確ではない記述がみられる可能性があります。誤りのある点があればご教示頂けますと幸いです。


改正の概要

概要は以下のよう。

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http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/1401718_001.pdf

 

ふむふむ。

個人的には①の「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備」がやはり気になりました。

 

というわけで改正案第30条の4、第47条の4、第47条の5を読んでみました。

 

一通り条文を読んだkanekoの感想

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大川ぶくぶポプテピピック」のLINEスタンプより

 

 

はい。すみません。条文だけだとよくわからんとです。

 

やはり審議会の内容等を確認しないとですよね。。。

 

審議会の内容等

平成29年4月文化審議会著作権分科会「文化審議会著作権分科会報告書」

あとは改正内容をわかりやすくまとめてくれている自民党の赤池議員のブログ(以下赤池ブログ)をざっと読んでみました。

 

 

まず、今後の技術革新に対応できる著作権の制度設備を行うという目的のもと、権利制限規定を以下の3層に分類したようです。

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赤池ブログより(なお、元ネタは文化庁の資料のよう)

 

このうち、第1層と第2層について、今回の改正案に組み込まれているということと理解しました。

で、第1層と第2層の例としては、以下のようなものがあげられると

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赤池ブログより(なお、元ネタは文化庁の資料のよう)

 

第1層については、今回「改正案第30条の4」と「改正案第47条の4」があてはまり、

第2層については、「改正案第47条の5」があてはまるようですね。

 

なお、赤池ブログには

以上については、予見可能性を確保するために、文化庁では法改正後にガイドラインを整備することとしています。

と書かれていたため、文化庁の今後のガイドラインの内容にも注目ですね。

 

というわけで条文を改めて読んでみる

ここで新ためて条文を読んでみます。

 

まずは改正案第30条の4

※以下、引用部分の太字はkanekoによる。


(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四

著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類そ
の他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程
における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合 


「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」かぁ。

さすが柔軟な権利制限規定。わかりにくい(苦笑)

 

 2号に「情報解析」が含まれるため、現行法の47条の7も包含されているという理解でいいんすかね?もしくは改正案47条の5とセットで包含されているんですかね?

どちらにせよ、機械学習を行う際に現行法の47条の7でネックだった「統計的」の要件も消されているし、役割分担を含む複数事業者による機械学習の場合も許容されるような気がします。

(現行法47条の7の但し書きについては、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」ということなんだろうなぁ)

 

あとソフトウェアの調査解析(リバースエンジニアリング)もこの規定でカバーされるみたいですね。

 

続いて改正案第47条の4


(電子計算機における著作物の利用に付随する利用等)
第四十七条の四

電子計算機における利用(情報通信の技術を利用する方法による利用を含む。以下この条において同じ。)に供される著作物は、次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用を円滑又は効率的に行うために当該電子計算機における利用に付随する利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合において、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑又は効率的に行うために当該著作物を当該電子計算機の記録媒体に記録するとき。
二 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該他人の自動公衆送信の遅滞若しくは障害を防止し、又は送信可能化された著作物の自動公衆送信を中継するための送信を効率的に行うために、これらの自動公衆送信のために送信可能化された著作物を記録媒体に記録する場合
三 情報通信の技術を利用する方法により情報を提供する場合において、当該提供を円滑又は効率的に行うための準備に必要な電子計算機による情報処理を行うことを目的として記録媒体への記録又は翻案を行うとき。


2  電子計算機における利用に供される著作物は、次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用を行うことができる状態を維持し、又は当該状態に回復することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 記録媒体を内蔵する機器の保守又は修理を行うために当該機器に内蔵する記録媒体(以下この号及び次号において「内蔵記録媒体」という。)に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録する場合
二 記録媒体を内蔵する機器をこれと同様の機能を有する機器と交換するためにその内蔵記録媒体に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同様の機能を有する機器の内蔵記録媒体に記録する場合
三 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該自動公衆送信装置により送信可能化された著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供するために当該著作物を記録媒体に記録するとき。


相変わらずなげぇよ(苦笑

現行法49条の5や49条の9に近い表現が見られるのでこの規定をより広くしたものと理解しました。(途中で条文読むの疲れた。)  

 

最後に改正案第47条の5


(電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等)

第四十七条の五
電子計算機を用いた情報処理により新たな知見又は情報を創出することによつて著作物の利用の促進に資する次の各号に掲げる行為を行う者(当該行為の一部を行う者を含み、当該行為を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆への提供又は提示(送信可能化を含む。以下この条において同じ。)が行われた著作物(以下この条及び次条第二項第二号において「公衆提供提示著作物」という。)(公表された著作物又は送信可能化された著作物に限る。)について、当該各号に掲げる行為の目的上必要と認められる限度において、当該行為に付随して、いずれの方法によるかを問わず、利用(当該公衆提供提示著作物のうちその利用に供される部分の占める割合、その利用に供される部分の量、その利用に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものに限る。以下この条において「軽微利用」という。)を行うことができる。ただし、当該公衆提供提示著作物に係る公衆への提供又は提示が著作権を侵害するものであること(国外で行われた公衆への提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知りながら当該軽微利用を行う場合その他当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該軽微利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 電子計算機を用いて、検索により求める情報(以下この号において「検索情報」という。)が記録された著作物の題号又は著作者名、送信可能化された検索情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の検索情報の特定又は所在に関する情報を検索し、及びその結果を提供すること。
二 電子計算機による情報解析を行い、及びその結果を提供すること。
三 前二号に掲げるもののほか、電子計算機による情報処理により、新たな知見又は情報を創出し、及びその結果を提供する行為であつて、国民生活の利便性の向上に寄与するものとして政令で定めるもの

2 前項各号に掲げる行為の準備を行う者(当該行為の準備のための情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆提供提示著作物について、同項の規定による軽微利用の準備のために必要と認められる限度において、複製若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この項及び次条第二項第二号において同じ。)を行い、又はその複製物による頒布を行うこと
ができる。ただし、当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該複製又は頒布の部数及び当該複製、公衆送信又は頒布の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。


なげぇよ(2回目


例として、所在検索サービス(書籍検索、テレビ番組検索、街中風景検索、楽曲検索)や情報解析サービス(論文剽窃検出、評判情報分析、電車遅延情報、医療支援サービス)が挙げられている部分ですね。

ちなみに、機械学習のアウトプットがデータセットに含まれる(公衆提示)著作物の表現上の本質的特徴を直接感得できる場合もアウトプットの具体的な表現によっては軽微利用になり得るという理解でいいんですかね?

 

この規定は「政令で定めるもの」と一部政令に逃げている部分もあるようですので、要注意ですね。

ところで 「国民生活の利便性の向上に寄与するもの」ってなかなか壮大だなぁ。

 

改めて読んでみた結果

対象となる行為例を確認して、なんとなくは理解できたけどやっぱりよくわからんです。

 

 法務のはしくれとしての感想

個人的に柔軟な権利制限規定の創設には肯定的な意見を持っています。

が、例として列挙されている行為以外の場合にこの条文の当てはめを検討するとなると骨が折れそう(というか条文の内容を理解するだけでも苦労しそう・・・)

というのが1法務のはしくれとしての所感です。

※もちろん、リスクテイクしていけるベンチャー企業にとってはとてもいい条文になると思いますし、ベンチャー企業ではなくても、新サービスを始める際に検討する条文としてかなり使える気がします(し活用を期待したいです)。

 

自分の中での結論 

結局、文化庁によるガイドラインや実務家・学者による解説を待とうと思いました(小並


きっと基本書やコンメンタールの著者の方々は改訂に向けてすでにアップ(検討)を始めていることでしょうし!