例の第三者委員会調査報告書から学べること
このTweetにそこそこ反響があったので、
例のDeNAの第三者委員会の報告書読んでるけど、法務知財担当者は絶対読んでおくべきだと思う。他人事じゃない明日は我が身。法的リスク以外の観点も含めてこの報告書から学べることはたくさんある。
— kaneko (@kanegoonta) 2017年3月26日
改めて、3月13日にDeNAのキュレーションメディア事業に関する第三者委員会調査報告書(以下「本報告書」)から反面教師として個人的に学んだことを備忘録として雑にまとめてみた。
本報告書の
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1.ビジネスマンとして考えたいこと。
①「質」と「量」を両立させるためにどうすればいいか。数字だけで評価していいのか。
・(「質」より「量」をとること自体は悪ではないと思うが、)「量」をとりつつも、「質」を担保できる方法はないのか。
・もしくは、センシティブな分野については、「質」の担保を優先するといった方法も考慮できないのか。
・数字以外の目標設定はできないのか。
②コミュニケーション不足の過程と行き着く先
『当委員会は、このようなコミュニケーション不全の個別具体的な内容にまでは踏み込まない。ただ、キュレーション事業におけるコミュニケーション不全何らかの形で関係していたすべての役職員に対して、以下のような苦言を呈しておきたい。』(要約版25p)
として挙げられた「苦言」がどこの会社でも当てはまり得る内容だったので以下引用する。
- 上司には、部下からの諫言にも耳を貸す寛容さが求められる。それがなければ、誰も上司にものを言わなくなる。
- イエスマンだけで周囲を固めることは、心地よいかもしれないが、何も見えなくなるだけである。
- 上司の一言が部下に与えるインパクトは、その一言を発した上司の想像を超えることがある。「そんなつもりはなかった」では取り返しが付かない。
- 上司が言葉足らずだと、その組織には、上司の考えを忖度する文化が生まれる。忖度が常態化すると、思い違いによる組織の意図せぬ暴走を招く。また、上司の考えを忖度することにばかりにとらわれた部下は、次第に自立的な思考をしなくなり、内向きな議論ばかりするようになる。
- 上司同士のコミュニケーション不全は、部下同士のコミュニケーション不全を生み、やがては派閥を生む。
- 社内の各部署がお互いの価値観や言動をリスペクトする姿勢を示せば、部署ごとの部分最適ではなく、会社や社会にとっての全体最適を追い求めるようになる。(要約版25~26p)
「忖度!」「忖度!」←言ってみたかっただけ
③新規事業の際に必要なことを明確化できているのか。
・新規事業についての適切な定義づけは行えているのか。
・新規事業によって、社会にどのような価値を提供するのか。
・数値ベースによる売上の拡大のみが目的となっていないか。
④「走りながら考える」ことの難しさを理解しているか。
『既に走り始めた事業のリスクへの対応策を後から講じることは、事業の成長に水を差しかねない行為と受け止められ、なかなかうまく機能しにくいことも事実であり、こうした逆風にもめげずにリスク対応策を浸透させるためには、より一層のエネルギーとコストを伴うことを覚悟しなければならない。』(要約版22p)
「とりあえずやってみて何かあればやりながら軌道修正する」というのはスピード感を重視する企業ではよくあることで、それ自体を否定すべきものではないが、実際に「軌道修正」するというのは、運用が回っている状態だと「今更何いってんの?最初に指摘しろよ」とか「運用コストが増大するんだけど」という否定的な反応を現場側では当然されるわけで。。。。
これをやりたくないのであれば、事前のリスクの洗い出しと対策をどれだけできるかがキモになるのだろうな。
2.法務知財担当者の端くれとして改めて考えたいこと。
①その場の法的リスクの指摘で終わっていないか。その後ちゃんと対応されたかどうかまで確認ができているのか。
それっきりになっていないか。
②見て見ぬふりをしていないか。受身になっていないか。
いわゆる「黙認」になっていないか。
②法務的リスクと道徳的リスクのどちらをとるべきか。(直リンクは原則著作権非侵害だが、一方でネチケット的にはアウト)
ビジネスジャッジ的な部分もあるけども。
③自社に都合の良すぎる法的解釈をしていないか。(プロ責法の誤った解釈)
あとは利用規約に頼りすぎていないかとか。
④現場への法的知識の刷り込みはできているか。現場で運用を行うための必要最低限の法的知識レベルをどう担保させるか。
教育・研修だけで解決できるものではないとは思っているけども。
⑤サービス開始直前(もう止められない段階)で法務相談がくるということがないか。法務の把握していない(法的解釈を含む)謎マニュアルが現場で運用されていないか。
一部の方には共感頂けると信じてる。