kanegonta’s blog

著作権や特許とかを趣味程度に勉強している企業ホーマーのまとまりのない日記。あくまで個人的な見解であり、正確性等の保証はできませんので予めご了承くださいませ。

違法コンテンツへリンクを貼るのは著作権侵害なんだっけ問題

久しぶりにブログを書きます。

君の名は。」面白いですよね。

 

ところで最近こんな出来事が

togetter.com

 

 

nlab.itmedia.co.jp

どうやら「君の名は。」の違法動画がでまわっているので、それを指摘するための公式アカウントが開設され手作業?でひたすら違法動画のリンクを張っているアカウントにリプを送っているようですね。

 

中の人大変だなぁと思うしだいでございます。

 

そこで、

「違法動画にリンクを張るのは著作権侵害なの?」

という疑問はあろうかと思います。

ちょうど卒論のテーマがその辺なので、少しブログに書いてみようと思います。

 

※ここでは

フレーミングやエンベッドといった「埋め込み型リンク」

・画像への直リンクを貼る「イメージリンク」

は法的問題点が増えるため考慮しません。

単純なテキストURL型のハイパーリンクを想定しています。

 

※詳しい資料等はわかる範囲で脚注にぶちこんであります。ご興味のある方はそこから調べてもらえれば。

 

※筆者は知財を現在勉強していますが、士業の資格をもっているわけでもないそのへんによくいるニワカ知財クラスタですので、詳しく知りたい方は専門家にご相談下さい。また、筆者が間違って理解している部分もあるかもしれませんので、その際はご指摘下さいませ。

 

1.【結論】

違法コンテンツへのリンク行為は

①リンク先のコンテンツが違法アップロードされたものと知っていてリンクを貼ること

②リンク設置時はリンク先が違法なコンテンツかどうかを知らなかったが、リンク設置後に権利者から指摘がきたにもかかわらずリンクを張り続けること。

著作権侵害の幇助になるおそれがあるため、やめておいたほうが無難

 

2.【原則論】

通常のリンク行為は、あくまでリンク先のコンテンツの存在場所を示すのみであり、当該コンテンツを複製しているわけではなく、また当該コンテンツを送信しているのはあくまでリンク先なので、複製権及び公衆送信権を含めた著作権を侵害しないもの*1

と考えられます。

 

3.【リンク先が違法コンテンツの場合は?】

ただ、リンク先が違法なコンテンツである場合はちょっと話が別です。

 

「リンク先が違法コンテンツな場合」とは、

  1. リンクを見て実際にリンク先にとんでいくインターネットユーザー(以下、「ユーザー」といいます)が、リンク先で違法にアップロードされたコンテンツを視聴できる場合(ユーザーは違法行為をしていない。) 【例:リンク先が違法にアップロードされた映画で、ユーザーはリンク先のサイトにおいてストリーミング再生で視聴できる。】
  2. ユーザーが、リンク先で違法にアップロードされたコンテンツをダウンロード等できる場合(ユーザーは違法行為*2をしている)

に分けられます。(以下、まとめて「違法コンテンツ分類」といいます。)

 

リンク先が違法なコンテンツであった場合、リンクを貼った者は

直接著作権侵害をしているわけではないが、

リンク行為によって違法送信の拡大をしているということで(共同)不法行為責任(民事上の著作権侵害の幇助)を負う可能性が従来から指摘*3されています。

ただ、インターネット上のコンテンツが違法かどうかをユーザーが判断をするのは一般的には難しいため、「ロケットニュース24事件*4」では、

著作権侵害公衆送信権等)を否定した上で、不法行為については、

リンク先のコンテンツが違法/合法の区別がつかない前提で、

権利者からの通知が来た時点(リンク先のコンテンツが違法だと知った時点)でリンクを削除しているので、否定されています。

 

逆を言うと

①リンク先のコンテンツが違法アップロードされたものと知っていてリンクを貼ること

②リンク設置時はリンク先が違法なコンテンツかどうかを知らなかったが、リンク設置後に権利者から指摘がきたにもかかわらずリンクを張り続けること。

はヤバイかもしれない。

 

そういえば、リッピングソフトへのリンクを貼った者を著作権侵害の幇助として検挙した例*5がありましたね。違法コンテンツ分類では(2)に該当かつリンクを貼った者に悪意があったようなので、悪質な例かもしれません。

あと発信者情報開示請求で「違法アップロード者=リンクを貼った者」とみなされた事例*6がありましたね。

 

君の名は。」の事件は、

①は、人によっては違法と知らずにリンクの設置をしているかもしれませんが、

②は、製作委員会のリプによって少なくともリンク先が違法コンテンツであることがリンクを貼った者も気づくので、そのままリンクを貼り続けるのは当てはまりそうですね。

 

4.【余談:リンクを貼った者は著作権の侵害主体にならないのか】

これは従来から検討されてきていたもので、いわゆる「リーチサイト」の問題で検討されてきた問題です。

リーチサイトの正確な定義はないのですが、「別のサイトにアップロードされた違法コンテンツへのリンクを集めたサイト」とでも言っておきましょうか。

つまり通常のリンクではなく、悪質なリンク集といったところです。

コンテンツホルダーからは、「違法コンテンツの拡大を促進*7し、かつリーチサイトの運用者は広告収入で儲けている」点から法規制を求めていますね。

過去は、解釈論として、著作物の使用の主体を、一定の要件のもと、「実際に使用しているユーザー」ではなく、「そのユーザーに手を貸して利益を得る業者」として考えることで著作権侵害を構成する規範的主体論(いわゆる「カラオケ法理」)に当てはめられるかどうかが議論*8されていましたが、

現在は、みなし侵害規定にぶち込むことで法規制をしようという動き*9になっています。

インターネット(表現)の自由とも抵触してきますし、みなし侵害の要件によって、拡大解釈されて一般のユーザーのリンク行為に過度な規制がかかるのも問題だよなと思うしだいです。

ここは今後の動きに注目ですね。

 

また、EUでは、違法コンテンツへのリンクに関して、【非営利かつ知情性なし】以外は広く著作権侵害になりうる判決が欧州司法裁判所からでて話題*10になっていますね。

この辺はまた今度。

*1:同趣旨の内容の文献として、佐藤恵太「インターネット利用に特有の諸技術と知的財産法」ジュリスト1182号46頁、飯沼総合法律事務所編『デジタル著作権の知識とQ&A』(法学書院、2008)86,87頁、鈴木基宏『Q&A著作権法』(青林書院、2011)170頁、松田政行編『著作権法の実務』(経済産業調整会、2010)160頁〔松田政行〕

*2:私的利用目的でも違法コンテンツのダウンロードはNGである旨の著作権法第30条1項3号を前提としていますが、ここは動画や音楽を前提としており、漫画やHP等の静止画・文字系のコンテンツは対象外なので本来はもう少し詳細(侵害者の悪意も含め)に区分が必要だよなぁとは思ってはいます。(やる気ない)

*3:田村善之『著作権法概説 第2版』(有斐閣、2006)192頁

*4:大阪地判平成25年6月20日判決。本事件は埋め込み型リンクの事案なので、本来は人格権の問題(同一性保持権と氏名表示権)や侵害主体の問題(いわゆる「埋め込み型のときは送信主体がリンク元だ!」という議論)が出てきます。また、本事件は地裁判決レベルかつ本人訴訟である点も(今後別の訴訟では逆の結論が出る可能性がないわけではないということで)ある程度考慮すべきでしょう。本事件を解説したブログとしてはhttp://www.azx.co.jp/blog/?p=359

*5:一般社団法人日本映像ソフト協会「2015/8/19 JVAニュースリリースhttp://jva-net.or.jp/news/news_150819/news.pdf

*6:東京地判平成26・1・17 LEX/DB 文献番号25446210

*7:国立大学法人電気通信大学平成23年度知的財産侵害対策ワーキング・グループ等侵害対策強化事業(リーチサイト及びストレージサイトにおける知的財産侵害実態調査)報告書」(平成24年3月)。

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2012fy/E002243.pdf

*8:論文としては、安田和史「リーチサイトの運営者にかかる著作権侵害の責任に関する考察」日本大学知財ジャーナルVol.7(2014)http://www.law.nihon-u.ac.jp/publication/pdf/chizai/7/04.pdf

なお、文化庁審議会としては、文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会 平成24年第3回~第7回で議題になっている。以下参考までにリンクを貼る。

第3回http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hosei/h24_03/index.html

第4回http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hosei/h24_04/index.html

第5回http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hosei/h24_05/index.html

第6回http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hosei/h24_06/index.html

第7回http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hosei/h24_07/index.html

*9:知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会 次世代知財システム検討委員会報告書~デジタル・ネットワーク化に対応する次世代知財システム構築に向けて~(2016)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2016/jisedai_tizai/hokokusho.pdf

*10:福井健策先生の記事http://japan.cnet.com/news/business/35088980/