Nobody's 法務

略称は「ノバ法」。知財、個人情報、プライバシー、セキュリティあたりを趣味程度に勉強している元企業ホーマーのまとまりのない日記。あくまで個人的な見解であり、正確性等の保証はできませんので予めご了承くださいませ。なお、本ブログはGoogle Analysticsを利用しています。

新人法務におすすめした本

f:id:kanegoonta:20210507213259p:plain

 

@itootanuさんの以下のエントリーを読みました。

 

 

自分もここ数年、新卒法務パーソンの教育に少しだけ携わる機会があり、その際におすすめした本をメモしておこうと思います。

 

なお、本エントリーは、以下のいずれかに該当する新人法務を想定しています。

  • 非法学部卒だけど法務に配属された
  • 法学部卒だけどそんなに勉強してなかった

 

 

1.日本語力を鍛えなおす

新装版 日本語の作文技術

新装版 日本語の作文技術

  • 作者:本多 勝一
  • 発売日: 2005/09/10
  • メディア: 単行本
 

法務は、他の職種より文章をよく書くお仕事だと思っています。

議事録や報告書の作成、契約書のドラフト、法務相談対応...etc

新人法務の教育に少しだけ携わって感じたことは、「(法的知識以前の問題として、)日本語の作文能力をアップさせることが大事だ」ということです。

そのために、まずこの本をおすすめしました。

この本は、「読む側にとってわかりやすい文章を書くために必要なこと」が記載されています。1976年に書かれたものがベースなこともあり、人によって評価が分かれる本ではありますが、個人的には勉強になった本です。

例えば、以下のようなことが学べます。

【修飾語の使い方】

  1. 節(1個以上の述語を含む複文)を先にし、句(述語を含まない文節)を後にする
  2. 長い修飾語は前に、短い修飾語が後にする
  3. 大状況から小状況へ、重大なものから重大ではないものへ
  4. 親和度の強弱による配置転換を考慮する(単語が直列的にかかってゆくときは親和度の強さに従い、並列的にかかるときには親和度が強いほど引き離す)

※1.と2.が特に重要

 

【テンの使い方】

  1. 長い修飾語が2つ以上あるとき、その境界にテンをうつ
  2. 語順が逆順の場合にテンをうつ(短い修飾語を前にもっていきたい場合には、テンをうつ)

 

【助詞の使い方】

  1. ひとつの文(または節)の中では3つ以上の「は」はなるべく使わない(2つまでとする)
  2. 「まで」は継続的な意味し、「までに」は期限を意味する
  3. 「間」は期間を意味し、「間に」は時点を意味する
  4. 逆説条件ではない「が」は使わない方がよい(例、少し脱線するが~)※文章をいったん切った方が読みやすい。

 

ちなみに、kanekoが法務としてのキャリアをスタートするときに知り合いの先生からおすすめされたのがこの本でした。

 

2.法務のお仕事を知る

 

物語風のテイストで法務の業務(ただし、メーカー前提)が理解できる本。

読み進めるうちに、主任がごくせんのあの人、課長が蔵之介で脳内再生されるようになります。

この本以外ですと、(恥ずかしながら未読なのですが)「今日から法務パーソン」を推す法クラも最近は多いですね。 

また、法務業務のフレームワーク的な部分だと「スキルアップのための企業法務のセオリー」もいいですよね。

 

3.契約関連 

「まずは新書レベルで読みやすい書籍」ということで安定の福井健策先生のこの本を。

これを読んだら、次は会話形式で契約書作成&修正のプロセルが学べる下記を。

契約書作成のプロセスを学ぶ(第2版)

契約書作成のプロセスを学ぶ(第2版)

 

 

ちなみに、バナナおやつ本(先生! バナナはおやつに含まれますか?―法や契約書の読み方がわかるようになる本―)も個人的にはおすすめなのですが、なぜか部内では不評...(シュン

 

4.民法の学びなおし

法務担当者のためのもう一度学ぶ民法(契約編)〔第2版〕
 

非法学部卒の場合も想定するとまずはこのあたりかなと思ってます。

他のオススメあれば是非ともご教示いただきたいです。(この分野はまじで沼)

 

5.法令用語の使い分け

新法令用語の常識」や「条文の読み方」あたりが候補なのですが、新人法務にとって読むのは苦行のようです。

結局以下のようなサイトをざっと見ておいてもらう感じになりました。

法律用語のキソ

 

6.知財

弊社のような中堅IT企業だと知財(特に著作権)は必須なので。

新書レベルだととりあえず下記2冊を。

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)
 

 

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)

 

 

上記2冊をサクッと読めたら、次は下記かな。

知財実務のツボとコツがゼッタイにわかる本

知財実務のツボとコツがゼッタイにわかる本

 

 

7.個人情報、プライバシー

いきなりPPCガイドラインに突っ込んだ自分にとって、選定が非常に難しい。。。

でも個人情報の知識は必須の業界なので、「新書レベルでザックリ全体感を理解させる」ということにフォーカスをあてると

プライバシーという権利―個人情報はなぜ守られるべきか

おそろしいビッグデータ 超類型化AI社会のリスク

からの「個人情報保護法の知識」でしょうか。

 

 8.その他

1~7を一通り読んだら、これをざっとでいいから読んどいて欲しい。(個人的希望 

現場からの法務相談がきたときの対応スキル(「こういった相談にはこういった法的論点がある」というあたりをつけること)が格段に上がるはずだから。たぶん。

 

最後に

以上、新人法務に個人的におすすめした本を紹介してきました。

書き出してみて改めて感じたのですが、法務として必要な分野をあまり網羅できてなかったなぁと感じています。(例えば、非法学部卒も視野に入れているならば、もうちょっと法学入門的な本をおすすめしておけばよかったなぁとか)

法クラの皆様のオススメ本もお聞きしたいところです。

 

 

 

 

 

 

ところで、配属1年後に「ぶっちゃけ、おすすめした本のうちどれ読んだ?」と聞いたところ、なんt...コンコン、ガチャ...おや、誰か来たようだ。