kanegonta’s blog

著作権や特許とかを趣味程度に勉強している企業ホーマーのまとまりのない日記。あくまで個人的な見解であり、正確性等の保証はできませんので予めご了承くださいませ。

著作権法の改正案を流し読みしてみた

どうも、3月の繁忙期を乗り越えられることができるのか不安でいっぱいなkanekoです。

 

さて、著作権法の改正案が閣議決定したとのニュースに接しましたので、ざっと目を通しました。

mainichi.jp

 

法律案はコチラ


※以下、kanekoの頭の整理のためにまとめたものですので、正確ではない記述がみられる可能性があります。誤りのある点があればご教示頂けますと幸いです。


改正の概要

概要は以下のよう。

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http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/1401718_001.pdf

 

ふむふむ。

個人的には①の「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備」がやはり気になりました。

 

というわけで改正案第30条の4、第47条の4、第47条の5を読んでみました。

 

一通り条文を読んだkanekoの感想

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大川ぶくぶポプテピピック」のLINEスタンプより

 

 

はい。すみません。条文だけだとよくわからんとです。

 

やはり審議会の内容等を確認しないとですよね。。。

 

審議会の内容等

平成29年4月文化審議会著作権分科会「文化審議会著作権分科会報告書」

あとは改正内容をわかりやすくまとめてくれている自民党の赤池議員のブログ(以下赤池ブログ)をざっと読んでみました。

 

 

まず、今後の技術革新に対応できる著作権の制度設備を行うという目的のもと、権利制限規定を以下の3層に分類したようです。

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赤池ブログより(なお、元ネタは文化庁の資料のよう)

 

このうち、第1層と第2層について、今回の改正案に組み込まれているということと理解しました。

で、第1層と第2層の例としては、以下のようなものがあげられると

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赤池ブログより(なお、元ネタは文化庁の資料のよう)

 

第1層については、今回「改正案第30条の4」と「改正案第47条の4」があてはまり、

第2層については、「改正案第47条の5」があてはまるようですね。

 

なお、赤池ブログには

以上については、予見可能性を確保するために、文化庁では法改正後にガイドラインを整備することとしています。

と書かれていたため、文化庁の今後のガイドラインの内容にも注目ですね。

 

というわけで条文を改めて読んでみる

ここで新ためて条文を読んでみます。

 

まずは改正案第30条の4

※以下、引用部分の太字はkanekoによる。


(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四

著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類そ
の他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程
における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合 


「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」かぁ。

さすが柔軟な権利制限規定。わかりにくい(苦笑)

 

 2号に「情報解析」が含まれるため、現行法の47条の7も包含されているという理解でいいんすかね?もしくは改正案47条の5とセットで包含されているんですかね?

どちらにせよ、機械学習を行う際に現行法の47条の7でネックだった「統計的」の要件も消されているし、役割分担を含む複数事業者による機械学習の場合も許容されるような気がします。

(現行法47条の7の但し書きについては、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」ということなんだろうなぁ)

 

あとソフトウェアの調査解析(リバースエンジニアリング)もこの規定でカバーされるみたいですね。

 

続いて改正案第47条の4


(電子計算機における著作物の利用に付随する利用等)
第四十七条の四

電子計算機における利用(情報通信の技術を利用する方法による利用を含む。以下この条において同じ。)に供される著作物は、次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用を円滑又は効率的に行うために当該電子計算機における利用に付随する利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合において、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑又は効率的に行うために当該著作物を当該電子計算機の記録媒体に記録するとき。
二 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該他人の自動公衆送信の遅滞若しくは障害を防止し、又は送信可能化された著作物の自動公衆送信を中継するための送信を効率的に行うために、これらの自動公衆送信のために送信可能化された著作物を記録媒体に記録する場合
三 情報通信の技術を利用する方法により情報を提供する場合において、当該提供を円滑又は効率的に行うための準備に必要な電子計算機による情報処理を行うことを目的として記録媒体への記録又は翻案を行うとき。


2  電子計算機における利用に供される著作物は、次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用を行うことができる状態を維持し、又は当該状態に回復することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 記録媒体を内蔵する機器の保守又は修理を行うために当該機器に内蔵する記録媒体(以下この号及び次号において「内蔵記録媒体」という。)に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録する場合
二 記録媒体を内蔵する機器をこれと同様の機能を有する機器と交換するためにその内蔵記録媒体に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同様の機能を有する機器の内蔵記録媒体に記録する場合
三 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該自動公衆送信装置により送信可能化された著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供するために当該著作物を記録媒体に記録するとき。


相変わらずなげぇよ(苦笑

現行法49条の5や49条の9に近い表現が見られるのでこの規定をより広くしたものと理解しました。(途中で条文読むの疲れた。)  

 

最後に改正案第47条の5


(電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等)

第四十七条の五
電子計算機を用いた情報処理により新たな知見又は情報を創出することによつて著作物の利用の促進に資する次の各号に掲げる行為を行う者(当該行為の一部を行う者を含み、当該行為を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆への提供又は提示(送信可能化を含む。以下この条において同じ。)が行われた著作物(以下この条及び次条第二項第二号において「公衆提供提示著作物」という。)(公表された著作物又は送信可能化された著作物に限る。)について、当該各号に掲げる行為の目的上必要と認められる限度において、当該行為に付随して、いずれの方法によるかを問わず、利用(当該公衆提供提示著作物のうちその利用に供される部分の占める割合、その利用に供される部分の量、その利用に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものに限る。以下この条において「軽微利用」という。)を行うことができる。ただし、当該公衆提供提示著作物に係る公衆への提供又は提示が著作権を侵害するものであること(国外で行われた公衆への提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知りながら当該軽微利用を行う場合その他当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該軽微利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 電子計算機を用いて、検索により求める情報(以下この号において「検索情報」という。)が記録された著作物の題号又は著作者名、送信可能化された検索情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の検索情報の特定又は所在に関する情報を検索し、及びその結果を提供すること。
二 電子計算機による情報解析を行い、及びその結果を提供すること。
三 前二号に掲げるもののほか、電子計算機による情報処理により、新たな知見又は情報を創出し、及びその結果を提供する行為であつて、国民生活の利便性の向上に寄与するものとして政令で定めるもの

2 前項各号に掲げる行為の準備を行う者(当該行為の準備のための情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆提供提示著作物について、同項の規定による軽微利用の準備のために必要と認められる限度において、複製若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この項及び次条第二項第二号において同じ。)を行い、又はその複製物による頒布を行うこと
ができる。ただし、当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該複製又は頒布の部数及び当該複製、公衆送信又は頒布の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。


なげぇよ(2回目


例として、所在検索サービス(書籍検索、テレビ番組検索、街中風景検索、楽曲検索)や情報解析サービス(論文剽窃検出、評判情報分析、電車遅延情報、医療支援サービス)が挙げられている部分ですね。

ちなみに、機械学習のアウトプットがデータセットに含まれる(公衆提示)著作物の表現上の本質的特徴を直接感得できる場合もアウトプットの具体的な表現によっては軽微利用になり得るという理解でいいんですかね?

 

この規定は「政令で定めるもの」と一部政令に逃げている部分もあるようですので、要注意ですね。

ところで 「国民生活の利便性の向上に寄与するもの」ってなかなか壮大だなぁ。

 

改めて読んでみた結果

対象となる行為例を確認して、なんとなくは理解できたけどやっぱりよくわからんです。

 

 法務のはしくれとしての感想

個人的に柔軟な権利制限規定の創設には肯定的な意見を持っています。

が、例として列挙されている行為以外の場合にこの条文の当てはめを検討するとなると骨が折れそう(というか条文の内容を理解するだけでも苦労しそう・・・)

というのが1法務のはしくれとしての所感です。

※もちろん、リスクテイクしていけるベンチャー企業にとってはとてもいい条文になると思いますし、ベンチャー企業ではなくても、新サービスを始める際に検討する条文としてかなり使える気がします(し活用を期待したいです)。

 

自分の中での結論 

結局、文化庁によるガイドラインや実務家・学者による解説を待とうと思いました(小並


きっと基本書やコンメンタールの著者の方々は改訂に向けてすでにアップ(検討)を始めていることでしょうし!