【書評】はじめての著作権法~著作権超入門書~
著者は森・濱田松本法律事務所の池村先生。
本書は月刊コピライトに連載されていた、「ざっくりさくっと著作権」がベースとなってる著作権初心者向けの書籍(新書レベルの入門書)です。
新書レベルの著作権入門書といえば、福井健策先生の「18歳の著作権入門」という(個人的)名著があり、本書も読書層としては被るのかもしれませんが、テイストが異なっており、「18歳~」以外での新書レベルの入門書としては本書をおすすめできると思います。
【ポイント】
本書のポイントは、やはり「わかりやすくしつつも必要最低限の基礎知識を入れ込んでいること」です。
具体的事例(裁判例含む)を挙げながら、説明をされているので著作権初心者でも著作権法全体のイメージを掴むことができます。
※複製と翻案の違い
※実際に著作権侵害かどうか争われた事例
また、本書は「著作権が多くの国民にとって身近なキーワードになった一方で、著作権法の基本的な知識はまだまだ浸透してないことがある(p5)」という著者の問題意識がベースになっています。
それは、
ある小説がありきたりのストーリーで全然感動しないとか、ある絵画が下手くそで見るに堪えないとか、ある音楽が耳障りで不快であるとか、あるゲームがクソゲーだとかいったような、「作品としての価値や評価」は、著作物かどうかとはまったく関係が在りません。(p31)
であったり
世間ではアイディアしか共通していない場合も含めて、あたかも著作権侵害であるかのように、「この作品はあの作品のパクリだ」なんて形で炎上することも少なくありませんが、是非冷静に判断をしていただきたいと思います。(p128)
といった記述からも問題意識が見て取れます。
たしかに、ネット上では少し似ているだけで「著作権侵害だ」といわれて炎上するケースが増えてきているように思えます。
(直近でも某ラノベが某テニスマンガのパクリだと炎上し、結果としてラノベの刊行が中止に追い込まれていたりしますね。)
もちろん、著作権法の観点からは合法であったとしても倫理的には問題があるケースはあり得るとは思うものの、私も著者の問題意識には同意見ですので、多くの人に本書が読まれるといいなと思うところです。
【その他個人的に興味深かった点】
- 加戸守行「著作権法逐条講義」を「カトチク」と略す
- 群馬出身の池村先生、グンマ愛が強すぎて「群馬あるある」という書籍を出版する
⇒探したらガチだった。
⇒探したらガチだった。