Nobody's 法務

略称は「ノバ法」。知財、個人情報、プライバシー、セキュリティあたりを趣味程度に勉強している元企業ホーマーのまとまりのない日記。あくまで個人的な見解であり、正確性等の保証はできませんので予めご了承くださいませ。なお、本ブログはGoogle Analysticsを利用しています。

【書評】法律家・法務担当者のためのIT技術用語時点~法務のためのIT用語辞典~

 

法律家・法務担当者のためのIT技術用語辞典

法律家・法務担当者のためのIT技術用語辞典

 

 

著者は個人情報保護法の改正のタイミングで怒涛のセミナー講演をこなしつつ、多数の著作を書かれている影島広泰弁護士。
(どうやって執筆する時間を確保してらっしゃるのでしょうか・・・)


本書の構成としては、技術分野ごとに用語の見出しと解説(法的な点も含めて)が記載されています。

 

技術者向けではなく、あくまで法務(の中でも比較的技術知識に疎い法務パーソン)向けの用語辞典になっていますので、以下のような経験をした法務にとっては理解の助けとなる一冊だと思います。

 

  • 「企画とシステムで新しいビジネスモデルを検討しているのだけど法的な問題があるか確認してほしい」と言われてMTGに参加したところ知らないカタカナ用語のオンパレード・・・
  • BtoBメーカーの法務からIT系法務に転職したけど、業界用語がわからない・・・(「クッキー?なにそれ、おいしいの?」)
  • なんか弊社の事業戦略を聞くとAIとかFinTechとか言っててなんか相談が来そうな予感・・・
  • 前任が辞めてシステム開発契約を見る事になったけど契約書のカタカナ用語の意味がわからん・・・

 

本書の目次はこちら

1章 インターネットに関するIT用語
 第1 インターネットの仕組み1:発信者情報の開示
 第2 インターネットの仕組み2:通信技術
 第3 インターネットの仕組み3:ドメイン
 第4 WWWに関連する基本的な概念
 第5 電子メールに関連する基本的な概念
 第6 その他のインターネット上の技術に関する基本的な概念
 第7 インターネット上のサービスとアドテク(Ad-Tech)に関する概念

第2章 情報通信技術全般に関するIT用語
 第1 情報通信に関する基本的な概念
 第2 システム構成に関する基本的な概念
 第3 ハードウェアに関する概念
 第4 ソフトウェア・人工知能(AI)に関する概念
 第5 IT技術全体に関する用語

第3章 企業におけるITサービスの利用とシステムの構築に関するIT用語
 第1 企業が利用するITサービスに関する概念
 第2 ITシステム開発に関するIT用語

第4章 情報セキュリティに関するIT用語
 第1 基本的な概念
 第2 サイバー攻撃に関する概念
 第3 情報資産の保護に関する基本的な概念

第5章 フィンテック(FinTech)・パーソナルデータに関する概念
 第1 暗号化・電子署名に関する概念
 第2 フィンテック(FinTech)に関する概念
 第3 パーソナルデータ(個人情報)に関する概念

目次を見てもらえばわかるとおり、インターネットの基礎的なところからFinTechやAIといった分野まで広く浅くカバーしているイメージです。

 

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※用語(見出し)と説明がかかれています。説明の中で使われている用語についても他で説明している場合は、(p●●)と書かれていて、すぐ参照できるようになっています。


技術的に細かいことが記載されているわけではありませんが、最低限必要なレベルの記載はされている印象です。(個人的な感覚としてはITパスポートぐらいのレベルでしょうか。)


個人的には、アドテクノロジーが技術分野としてしっかりカバーされていることに感動しました。
法律系書籍において、アドテクノロジー周りに言及されている書籍はほとんどみないですし。(だから個人情報周りで苦労するんですよね。)
特にCookieSyncの説明(典型的なパターンのみですが)には図表付きで解説されており「これだよこれ!」と心の中で声をあげておりました。

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※CookieSync(Web Beacon利用パターン)の説明図とメタタグ関連の判例紹介の一部。わかりやすい。

 

というわけで、私の会社の机の上に置く1冊となりました。