法務系 Advent Calendar 2016のエントリーです。
Utastmさんからバトン受け取りました。
kataxさんの「無資格法務のキャリアパスについて」というエントリーがとても考えさせられるものがあったので、これに便乗して(?)まさに無資格法務として知財法務コースを目指ざしたいなぁと思った人間が「働きながら知財系大学院に行くという、ちょっと普通じゃない選択をしてみたらどうだったか」ということを独断と偏見で書いてみようと思いましてこの内容でエントリーしました。
これから働きながら大学院に行こうと思っている人にとって少しでも参考になれば嬉しいです。
※あくまで知財系の大学院の話なので、ロースクール等の大学院には当てはまらないことがあるかもです。
※この内容をチョイスした時点である程度身バレ覚悟です。
※このエントリーはあくまで私個人の見解です。
1.【結論】
無資格法務として働きながら知財系大学院に行くことは
①はっきりとした目的意識
②何かを捨てる覚悟を持つこと
③職場(と家族)の理解とそこそこの体力(とそこそこのお金)
があれば得るものが大きいし、仕事とも両立できると思います。
一方、少しでも上記が満たせない場合は
・資格(例えば弁理士)をストレートに目指すか
・(実務を行える職場にいるのであれば)実務を通して知識と経験を積む
ほうが無難だと思います。
2.【いまの自分】
私は、
平日昼間はIT系?でひよっこ法務部員として働きつつ、
平日夜と土日は大学院生として勉強する生活をしています。
仕事の割合としては、
契約法務と案件相談(著作権含む)が7割
なんちゃって知財(出願サポート・クリアランス・体制作り)が3割
といったところです。
大学院では、特許、商標、著作権といった分野を幅広く勉強しています。
今に至った経緯としては、新卒で営業として3年間働いていて、今後のキャリアを考えたときに、
「ある程度好きなことを仕事にしたい(今の会社ではそれば難しい)」と思い、
知財を大学院で勉強しつつ、法務と知財を実務として仕事することを決めて、転職&大学院入学をほぼ同時に行った、といった経緯があります。
なお、実務を知財一本にしなかったのは、法学部出身だったというよりは、理系出身ではない以上、知財(特に技術的な知識を要することの多い特許分野)一本で未経験のペーペーが転職するのはリスクが高いと判断したためです。
3.【働きながら大学院に行く上で必要だと思ったこと】
①目的意識
当たり前かもしれませんが、
・自分のキャリアとして、ゴールは何なのか
・いつまでに何をしたいのか
・そのために大学院で何を学びたいのか
といったところの意識ははっきりさせておくべきだと思います。
もちろん、途中でずれてくるものだとは思いますが、ここがしっかりしていないと、(言い方が悪いかもしれませんが)大切なお金をドブに捨てることになるかもしれません。
なお、知財系の大学院によっては一定の要件を満たすと弁理士試験の一次免除があったりしますが、
単純に弁理士をゴールとして目指すなら資格の学校行く方がコスパ(お金と時間的な面から)がいいと思います。
ちなみに私の場合は、
・知財に関する基礎的知識だけでなく、実務的知識も身につけること
・知財業界の知り合いを少しでも広げること
の2点を目的として大学院に入学しました。
以下、大学院に入って気づいたことを書いていきます。
【メリット】
(1)学んだことがすぐ実務に行かせる
これは自分の「学習分野=実務の分野」であることが大きいと思うのですが、
「あ、これ先週講義で習ったやつだ!(進●ゼミ風に)」ってほんとになって少し感動しました。
ちなみに、大学院の講義ってどんなのかというと、
いわゆる普通の講義形式のものから特許明細書をひたすら読んだり、明細書を作成して教授に添削してもらったり、特許調査のやり方を学んだり、ライセンス契約書つくったりする講義があって個人的には面白い講義が多くありました。
(2)交友関係を広げられる
やはり共に勉学に励む仲間や実務家の知り合いができたことは大きいです。
私のいる大学院には、文系理系問わず、学部卒のピチピチ(これ死語ですかね?)で若い学生からバリバリの知財部員まで幅広い世代の人がいます。
また、講義によってはゲスト講師として来た実務家の方との交流もできたりします。OBとの交流はそこまで多いとは感じませんが、ないことはないです。
(知財業界は比較的?狭い業界ですので、)一人知り合いができると芋づる式に多くの知財業界の方と知り合いになれます。最終的に学会、オフ会、セミナー等に参加すると必ず知り合いがいる状況が生まれます。
(3)気兼ねなく実務家や教授に質問が出来る
一応学生ですからね。講師(知財部や特許庁出身の教授から知財系の実務家まで。実務家と学者の割合は大学院によってまちまち。社会人向けは実務家の割合が高い。)に会社での実務における質問をしまくれます。
学費払っているから当然かもしれないけど。
学生万歳。
(4)ちゃんと勉強する
これは間違いなく、私自身が学部時代まっっったく勉強していなかった反動だと思いますが、自分の金で、目的意識をもって学校に行くとちゃんと勉強します。
(5)学割が使える
地味ですが、もろもろ学割が使えます。
(6)所属する学校の名で学会発表ができる。
企業勤めの無資格法務だと肩書きが企業名しかないことが多いため企業によっては学会発表がしにくい場合はあるかと思われます。(特に業務に直接関係のないテーマであった場合はなおさら)
その点、学校名で学会発表できると楽です。大学院の学生としての自己研究の発表なので通説だってdisれちゃいます。(もちろんそれ相応の反論は覚悟しないといけないですが)
【デメリット】
ただ、一方でデメリット(課題?)もあります。
(1)学生ごとにモチベーションの差が生じている。
これはあくまで私の私見ではありますが、
学部卒も受け入れる大学院だと、残念ながらいわゆる学生の「モラトリアム」となっている面が否めない点があり、やる気のある院生とそうではない院生とで差があるように感じます。(もちろん学部卒でもやる気ある学生はいます)
その中でもいかにして自分のモチベーションを高く保っていくかが大事になってくると感じました。
私の場合は、入学してから同じような問題意識を抱える院生と自主ゼミを立ち上げ、切磋琢磨できる環境を作り出すことで周りに引きずられてモチベーションが下がることがないようにしていました。
(2)知財系大学院は全体的に学生数が減っている
ソースはちゃんと調べていませんが、
かつて知財が盛り上がっていた時期に比べると減少傾向のようです
一部の知財系大学院では再編が進んでいます。
(3)その他
うん。これ以上は書けないかも(苦笑)
②何かを捨てる覚悟を持つこと
サラリーマンと大学院生を両立するためには、「有限な時間をどう効率的に使うのか」という問題(当たり前ですが)にぶち当たります。
従って何かを捨てることになります。
例えば、
・趣味の時間を捨てること
私の場合は毎日の深夜アニメ鑑賞を断ち切りました。
(まぁ夏と冬は有明に行きますが。Twitterも断ち切れてませんが。)
・優先順位をつけること
仕事>学校>趣味>>>>越えられない壁>>>>家族
という優先順位を最初からつけました。
また仕事の中、学校の中、趣味の中でも明確に優先順位をつけました。
そして低いものは切る、か他の人にお願いする。(といいつつまだまだできていない)
とはいえ、仕事が忙しいときは学校に遅刻していくこともあったり。
③職場(と家族)の理解とそこそこの体力(とそこそこのお金)
職場の理解は絶対に必要だと思います。
私の場合は奇跡的に働きながら大学院にも行かせてくれる会社に出会えたので職場の理解がある前提で大学院に通えていますが、所属する会社によっては難しいかもしれません。
あと家族の理解も必要です。
特に家庭をお持ちの方は大学院に時間が割かれてしまう以上、家庭への時間を割くことができなくなってしまいます。
そしてなにより体力。
どんなに効率よく仕事をしていても、レポート・テスト期間は睡眠時間を削ることになります。
継続的な運動と栄養の偏らない食生活(とできれば最低限の睡眠時間)は必要。(ラーメン●郎とかダメ!ゼッタイ!)
最後に学費。
学費は大学院によってまちまちなのですが、ある程度は貯めておく必要があると思います。奨学金という方法もありますが、できれば避けたいですよね。。。
ただ、最近は専門職大学院における教育給付金の制度があるので、負担が軽くなる場合があります。
ちなみに私は申請し忘れました。。。。。(入学前の事前申請らしい)
4.【最後に】
ものすごく個人的なことを書いてしまっているのですが、そんなエントリーが1個くらいあってもいいのかなと開き直っています。
卒業後どうするの?というのを最近良く聞かれるのですが、
とりあえず最低限の知識は身につけることができたと思うので仕事に集中しようと思っています。
ただ仕事をメインとしつつも
・法務知財ブロガーを目指す
・アカデミックを続ける(博士課程に行く)
・弁理士試験の勉強を始める
という選択肢も考えていたりします。
まとまりないですが、この辺で。
次はmiraisaaanさん!
よろしくお願いしまぁぁぁす!(サ●ー・ウォーズ風に)